鉄道運転士の居眠り対策は勤務シフトの見直しと増員以外では防げない

運転中は眠気が襲ってくるものだが

自動車でもそうだが、特に変わり映えもしないところを運転していると眠気が襲ってくることがあります。

周りの景色を見る余裕があるときは眠気は襲ってきにくいのですが、視線をずっと前など一定方向に定めていると眠気が襲ってきやすくなります。

ただあまりにもキョロキョロしていると前方不注意となって危険ですから、前を向きながら視点だけをずらす程度にしないといけませんよね。

また食事の後は誰だって眠気に襲われる可能性が高いので、食事は少なめにするとか、運転前にコーヒーを飲んでから10分ほど仮眠をとるなど対策は当然必要です。

 

個人が運転する自動車での居眠り運転はもちろん怖いのですが、これがたくさんの命を預かって運転するバスや鉄道での居眠り運転となるとさらに怖い。

その瞬間的な居眠りによって多くの乗客が危険にさらされるわけですから、運転中は居眠りに襲われるものだと言い切ることはできません。

当然ですがプロとしての意識や対策が必要になってきます。

ところが運転中に居眠りをしてしまう列車の運転士は後を絶ちません。

最近の運転士はプロとしての意識が低くなっているのでしょうか。

 

 

昔から居眠りする運転士は多かったと思うが

最近は運転席後部からスマホなどで簡単に撮影されることもあり、運転士が居眠りしている動画を見ることが多いです。

昔は運転席の背後はガラス張りでない車両も多数ありましたし、ガラス張りであっても常にカーテンを降ろしているのもふつうでしたから、居眠りしていても見つからなかっただけかもしれません。

 

  • 運転士「一時的に眠気感じ」オーバーラン…駅に停車せず
    2月7日 午前9時10分ごろ JR高崎線宮原駅
  • 西武鉄道の運転士が居眠り 乗客700人
    2月9日 12時35分頃~52分頃 池袋線保谷~池袋駅間

 

この記事を書いているのは2月10日ですから、3日以内で2件も公になった居眠り事案が発生したことになります。

公になっていない居眠り事案なんて相当な数に上るはずですけどね。

 

多くの方は1つ目の事案なんて

「朝の9時過ぎに眠気に襲われてオーバーランって、前日夜遅くまで遊んでたのではないか?」

「プロなんだから前日は早めに眠るなど、きちんと仕事と向き合って体調管理すべき」

「睡眠時無呼吸症候群ではないのか?」

そういった感想を持つ方が多いのではないでしょうか。

 

2つ目の事案でも似たような感想を持ってしまうかもしれないですね。

 

鉄道の現現職は基本的に泊まり勤務です。

駅などでは9時出勤で翌朝9時までといった24時間勤務で、あまり出勤時間が変動することはありません。

ところが車掌や運転士となると毎日出勤時間が異なり、例えば今日は午前11時21分出勤で翌日は午前10時55分まで勤務で、その次は午後14時11分出勤で翌日の午後13時20分まで勤務といったように、毎日バラバラです。

そして朝のラッシュ時間帯にたくさん乗務員が必要なので、勤務終了は朝のラッシュ時間帯を越えた時間に設定されていることが普通です。

これは昔からあまり変わっていませんから、居眠りしてしまう運転士は昔もいたはずなんです。

ただし今は昔より勤務シフトの中身が苛酷になっているという現実もあります。

 

 

勤務シフトと乗務員の削減

先ほど乗務員の勤務シフトは約24時間の泊まり勤務で、毎日出退勤の時間が異なり、退勤時間は原則的に朝ラッシュが終わってからと書きました。

 

それに加えて仮眠時間の短さが勤務シフト上のネックになっています。

 

乗務員のシフトを作成する際の仮眠時間ですが、大半の会社が6時間は確保しているとしているようです。

ところがその6時間というのは、仮眠前の最後の乗務を終える時間から仮眠後最初に乗務を開始する時間としています。

それも駅に到着した時間から出発するまでの時間としていることがふつうです。

(実際には若干の待機時間などが加味されて6時間程度とされます)

その6時間にはお風呂に入る時間や着替える時間、さらには遅い夕食をとる時間も含まれての6時間であり、長く仮眠をとれたとしても4時間が良いところで、2~3時間なんて言うこともザラです。

 

 

また1990年代には各社とも効率化を図るという名目で、現業職員を減らす動きが活発化しました。

列車の運転本数は同じまたは増加する中で、乗務員の数を減らしました。

合理化とかリストラと呼ばれるものですね。

各社ともに1980年代と現在の1日あたりの乗務量(乗務時間や乗務距離)を比較すると、10%~20%は増加しているといわれるほどです。

 

ですが各鉄道会社の考えは

当該運転士に対して、お客さまの生命をお預かりしているという職責の重さについて、厳しく指導しました。また、全乗務員に対しても、当該事象を周知するとともに、改めて同様の指導を徹底してまいります。

【お詫び】運転士の乗務中の居眠りについてから

この文章は2月9日の西武鉄道での居眠り運転発覚にともなう西武鉄道の公式見解なのですが、あくまで会社としては運転士に対して指導をする、それだけしか対応策を取ろうとはしていません。

これは西武鉄道だけの話ではなく、すべての鉄道会社の基本的なスタンスです。

 

もしも根本的な対策を考えるとなれば、勤務シフトの見直しによって1日当たりの乗務量の減少と、安全に運転できることが可能な仮眠時間の確保となります。

それを実現するためには列車運行本数の減少、または乗務員の増員以外方法はありません。

 

鉄道会社はそろそろ根性論的な指導という名の圧力ではなく、抜本的な安全対策を講じる時ではないですか。

ホームドアや可動式ホーム柵の設置だけが安全対策ではないのですよ。

タイトルとURLをコピーしました