JR志賀駅 駅員がベビーカーを階段で降ろす際に乳児が転落して骨折

ベビーカーから乳児が転落

事件の概要から

2021年2月25日の午前、JR湖西線の志賀駅で駅員が階段でベビーカーを降ろす際に、ベビーカーに乗っていた乳児が転落してしまい頭部を骨折。

26日に入院したが27日には退院したもよう。

志賀駅は高架の駅ですがエレベーターやエスカレータは設置されていませんでした。

また駅員は1人しか勤務していなかった。

乳児がベビーカーに乗っていたほかもう一人子供を連れており、女性旅客はもう一人の子供を抱えて階段を下りていた。

ベビーカーに乗っていた乳児はベルトをしていなかった。

駅員が運ぶベビーカーから乳児落ち重傷 大津・JR志賀駅の階段 | 毎日新聞
 JR西日本は27日、大津市木戸のJR湖西線志賀駅で25日、男性駅員がベビーカーを運びながら階段を下りていた際、乗っていた乳児が落下する事故があったと発表した。乳児は頭の骨を折るなどの重傷を負ったが、命に別条はないとしている。

 

 

JR西日本のマニュアルによると、ベビーカーの移動を⼿伝う際は利⽤客に⼦供を抱いてもらい、駅員は
たたんだベビーカーや荷物を運ぶことになっているそうです。

 

 

新聞での報道をざっと読んでみたのですが、おおむね駅員がマニュアルを守らなかった点を強調したいようですね。

たしかにマニュアル通りにお客さんに乳児を抱っこしてもらい、ベビーカーなどの荷物だけを駅員が降ろしておれば今回のようなことは起こりませんでした。

ただその旅客はもう一人の子供を抱えていたことから、乳児も抱っこさせて階段を降りることは不可能だったかもしれません。

そうなると駅員はベビーカーに乳児を乗せたまま階段を降ろすしか選択肢がなかったのではないか。

そして日常的にベビーカーに子供を乗せたまま階段の上り下りを手伝っていたのではないか。

あくまで推測ですがそのように思います。

 

 

机上で作成したマニュアルほど厄介なものはない

JR西日本ではマニュアルで、ベビーカーの移動を⼿伝う際は利⽤客に⼦供を抱いてもらい、駅員は
たたんだベビーカーや荷物を運ぶことになっていることを先ほど書きました。

なるほどこれならば安全なはずですし、乳児や幼児を駅員が扱わないで済むことから、万が一の場合にはJR側が責任を取らずに済みますよね。

 

そして会社側のお決まりのコメントとして

「再発防⽌を徹底する」

「今後は取り扱いを徹底したい」

とすべては駅員がマニュアルを無視したことによって誘発された事故である、だから駅員に対してマニュアルの徹底を指導する。

これで本当に良いのかなと疑問に思います。

 

今回のケースでは旅客は2人の子供を連れており、一人は被害に遭った乳児で、もう一人の年齢はわかりませんが階段を降りる際に旅客が抱っこをして降りていたといいます。

駅員が会社のマニュアルを厳守しておれば

「この乳児も抱っこして階段を降りてください」

と旅客に要請し、駅員は空になったベビーカーを持って階段を降りれば済むことになります。

 

結局マニュアルはあらゆることを想定して作られたものではないのです。

旅客は子供を一人しか連れていないことしか想定しておらず、二人以上の子供を連れてJR西日本を利用することなんて考えが及んでいないだけです。

 

マニュアルを作るのは本社の有名大学出身のエリートさんたちで、机上の論理ですべてを考えて現場へ押し付ける。

現場にとってこれほど厄介なことはないのですよ。

おそらくごく短期間から数年だけ駅員や乗務員など現場の仕事を体験して本社勤務となり、現場の事をすべて把握しているのだと勘違いした人が机上で作成したマニュアルなのだろうと思いますよ。

 

マニュアルに付則で

「ベビーカーに子供を乗せたまま階段の上り下りなどを介助するときは、必ずベルトの装着を確認し、ベルトができていない場合は旅客に対してベルトの装着を要請すること」

を書き加えて、もしベルトの装着要請に応じてくれない場合には、介助を断ってもよいとする内規くらい作成してもいいんじゃないかな。

 

ベビーカーの子供を抱っこしてくださいとお願いすると、ものすごく反発してくる旅客も多いですしね。

「これだけ荷物を持っているのに、子供を抱けってどういうこと!」

とにかく机上で作られたマニュアルなんて、現場では何の役にも立たないどころか厄介ものなのですから。

 

 

簡単にエレベーターの設置を要求する人もいるけど

今回の件をTwitterなどで見てみると

 

なぜエレベーターが無いの?

JR西日本はエレベーターを設置しろ!

 

といった意見が散見されますが、それは大都市の鉄道しか見ていない人たちの意見。

志賀駅の1日の乗降数って1000人前後で、国交省がエレベーターの設置を義務付けている基準の3000人を大幅に下回っています。

それに基準に関係なく、費用対効果で考えると志賀駅へのエレベータの設置はかなり後の方になるのも仕方がないのでは。

もちろん安全やらバリアフリーの観点から言えばエレベーターの設置が望ましいのは言うまでもありませんが、鉄道会社としてはもっと乗降客の多い駅への可動式ホーム柵・ホームドアの設置を優先せざるを得ないのが現状でしょう。

 

既存の駅へのエレベーターの設置については、自治体や国から助成金が出ます。

ただ全額補助ではないですし、予算があるので年簡に新たに設置できる数も限られてきます。

また設置後のメンテナンス費用や電気代などランニングコストは鉄道会社側の負担になります。

なので今回の事故を受けて感情的に

「すぐエレベーターを設置しろ!」

というのは現実を知らなすぎるのではないかと思います。

 

大都市での利便性や安全性を最優先してきたのは、人口の密集度合いから言って費用対効果に優れるから。

少し離れた場所での利便性や安全性がないがしろにされているのは、費用対効果に見合わないから。

どうしても志賀駅へのエレベーター設置を声高に叫ぶ人は、人で混雑しホーム下への落下や列車との接触の危険性が高い駅へのホーム稼働柵やホームドアを後回しにしてもいいんですか?

それもダメだというのならば、鉄道運賃を大幅に引き上げてもいいんですか?

 

それができないから、マニュアルを改定して現実に則したものにするしかないと思うのです。

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