2018年8月22日、神奈川県大和市の36歳の女性は、生後1ヶ月の長男を床に放り投げてうつぶせにして尻をたたき、両手で抱えて激しく揺さぶったなどし、急性硬膜下血腫で死亡させた。
傷害致死罪に問われた女性への求刑は懲役5年だったが、事件当時の被告は幻聴など統合失調症の圧倒的影響下にあったとして、横浜地裁は心神喪失状態だった疑いが残るとして無罪を言い渡した。
心神喪失が認められて無罪になるケースは決して多くはないのですが、人を殺しておいて無罪になるということにどうしても納得がいかない人は多いと思います。
私もその一人です。
今回の事件は生後1ヶ月の赤ちゃんを床に放り投げるなどして殺しているのですから、無罪判決に納得がいく人のほうが少数ですよね。
刑法第39条1項には
心神喪失者の行為は、罰しない
と書かれており、罰しないから無罪なんだと言うことになるのですが、この無罪という言葉がどうにも癪に障るのですよ。
実際には心神喪失者だったと認められて無罪判決が出たからと言って、直ちに釈放されて自由に生きていくことはまず無理です。
このケースでの無罪というのはあくまで懲役などの罰は与えないが、すぐに釈放されることもない。
医療観察法に基づいて措置入院が実施され、心神喪失状態が寛解(かんかい 病気の症状や徴候の一部またはすべてが軽快した状態)するまでは退院は認められない。
日本でのデータはわかりませんが、アメリカでのデータでは措置入院した被告のうち退院できたのは20%を下回り、多くの人が結果的に一生涯身を拘束される状態になると言います。
ただしあくまで罰によって身を拘束されるのではなく、治療のために病院から出ることができない状態にされるという違いはあります。
それと、この手の話になると日本って割と早く退院できちゃうような気がするんだけど、実際にはどうなのでしょうか。
無罪判決が出たあと検察官は地裁に対して入院させるべきだと訴える
措置入院が必要かどうかを見定めるために2ヶ月間(最長3ヶ月)の鑑定入院
医師による鑑定の意見書により入院の継続と治療の実施が決まる
こんな感じらしいです。
私も調べてみるまで
心神喪失状態=無罪=自由な生活
って図式が頭に浮かんだものだから納得がいかず、無罪という言葉が癪に触っていたわけです。
そりゃそうですよね。
人を殺しておいて心神喪失状態だから無罪と言って、世の中にそのまま放り投げられるのはさすがに怖すぎます。
でもなぁ
無罪
という言葉のイメージがあまりにも強烈すぎるからなぁ。
暫定無罪
とか
無罪だが今後検察側と協議のうえ今後の処置を決定する
とかならかなりイメージも変わってくるのだけど。