2017年12月6日、最高裁大法廷においてNHKの受信料は合憲とする判断が出されました。
最高裁での判断ですから、今後同種の訴えがあったとしても判例によって判断されるわけです。
NHKが受信契約の申し込みに応じない男性に対して起こした裁判で、最高裁判所大法廷は、「受信料は憲法の保障する表現の自由のもとで国民の知る権利を充たすための制度で合理的だ」として、テレビなどを設置した人に受信契約を義務づける放送法の規定は憲法に違反しないという初めての判断を示しました。
各国の公共放送ですが受信料のみで賄っているケースもあれば、受信料と広告料(CM)で賄っているケースなどがありますが、NHKは受信料と政府負担によって運営されています。この受信料と政府負担による運営は英国BBCにもみられ、おそらくはお手本としたのでしょう。
つまりは日本のNHKだけが受信料を徴収しているのではありません。ただし支払わなければ罰則があったり、他の公共料金と一緒に徴収するなど日本より厳しい処置を取っている国もあるのです。
テレビを設置しているが受信料を払っていない人との契約については、契約成立はNHKが未契約者を相手取って裁判を起こして勝訴判決が確定した時点とし、テレビを設置した時から徴収するとしました。
一部では「時効なので5年分しか支払いません」と主張すれば5年分で済むといった意見もあるようですが、今回の判決ではそれは受信契約を結んでいるものの支払わなかった場合であり、まったく受信料契約を結ばなかった今回のようなケースの場合には、極端な話が50年分でも請求できるそうです。
受信料は地上契約が月1260円、衛星契約(地上を含む)月2230円ですが、積もり積もれば相当な金額になります。
地上契約を20年間払っていないとすると約30万円です。
これも一部で見られますが、訴訟提起と弁護士費用を天秤にかけると個別にわざわざ訴訟を起こすことはコスパが悪すぎるというものですが、60万円以下の金銭の支払を求める場合に限り利用することができる、少額訴訟という制度があります。
さらに1回の期日で審理を終えて判決をすることを原則とする特別な訴訟手続であり、その訴訟費用も格安なのです。
- 訴額10万円以下:1,000円
- 訴額10万円超20万円以下:2,000円
- 訴額20万円超30万円以下:3,000円
- 訴額30万円超40万円以下:4,000円
- 訴額40万円超50万円以下:5,000円
- 訴額50万円超60万円以下:6,000円
NHKがこの少額訴訟を利用すれば1回の審理ですぐ判決が出ますので、テレビを設置した日付をどうやってNHK側が証明するのかですね。
私にするともう逃げ道はないと思うのですが、どうなのでしょうか。受信料に対して徹底的に反対されている方々ほどその方法を存じませんので。
私は受信料制度が合憲であるという判断のもとになった
「表現の自由のもとで国民の知る権利を充たすための制度」
を特に重要視しています。
まず受信料を強制敵に徴収できる公共放送であるならば、政治的にも思想的にも中立でなければいけません。片方の思想に肩入れすることなく中立公正に放送することが求められます。
しかし現状ではどうでしょうか。
国会中継は確かに行っていますが、昼日中の国会中継を見ることができる人は少数派でしょう。なのでニュース等で公平に取り上げて国民に知らせる義務がNHKにはあります。
しかし今のNHKが出来ているのかというと、残念ながらまったくできていません。
最近でも青山繁晴参議院議員や薬師寺みちよ参議院議員の予算委員会での素晴らしいやり取りって報道されましたか?おそらくご存知ではない方が大半でしょう。
国会での論戦は野党によるモリカケ問題ばかりをニュースでも流し、まるで他の質疑が全く行われていないかのような報道ぶりに、「国民の知る権利を充たす」ものとは到底言えない状況下では、最高裁判決における前提条件が崩れていると指摘されるのもやむを得ないのではないでしょうか。
全議員の質問内容とそれに対する回答、さらにどの程度時間をかけて行ったのかくらいは報道すべきではありませんか?これこそ国民の知る権利を充たすものだと言えるのではないでしょうか。
さらに言えば高校野球は全試合完全生中継を行い、さらにスポーツニュースでも相当な時間を割いて放送されますが、高校のスポーツって他にはないのですか?ニュースでもまず報道されない高校生のスポーツがありますが、なぜそこまで差別的な扱いを行うのですか?
民放はスポンサーによって収入を得る商業放送ですから、視聴率を考えてある程度の偏りも仕方ないかもしれませんが、NHKは受信料を強制的に国民から徴収しているのになぜそのような偏りが許されるのですか?高校野球は視聴率が取れるからとか、関心を持っている人が多いからという理由ですか?
国民の知る権利を充たすということは、他のスポーツ愛好家に対しても同等の放送サービスをすべきではありませんか?
さらにさらに言えばスポーツや政治を含めて、全てのニュースについて客観的事実だけを伝えることこそが「国民の知る権利を充たす」ものになると考えられ、NHKの主張や感想は排除されなければならず、そこには視聴率や世間の関心というものも排除する方向にならざるを得ないものだと考えます。
テレビ草創期のようにNHKが娯楽番組なども一手に引き受ける時代ではなく、そういったものは民放やインターネットに任せるべきであり、どうしても見たいコンテンツならば今は惜しみなくお金を払う時代になっています。
それこそテレビ草創期の古い放送法によって受信料を強制的に取り放送するNHKは、最高裁の判決が出たことも踏まえて、きちんと国民の知る権利を充足する放送をしなければいけません。
必要性を国民全員が感じることができる放送をしないかぎり、いつまでもこの受信料の問題は解決していかないでしょう。
最後に付け加えておきますが、今のままの放送をNHKが続けるのであれば受信料なんて払いたくありませんし、即刻廃止するべきだと思っています。